8 顎関節症の治療の実際

咬み合わせが体軸の中心です

運動する時など下顎は身体のバランサーとして働きます.体軸 (頸椎,脊椎,腰椎)や頭の骨のゆがみとかみ合せ(咬合)は密接な関係があり,体軸が変化すると骨がゆがんで咬み合わせに異常が起こり,咬み合わせに異常が起これば骨が歪んだり,体軸が曲がります.そのために,体軸である頸椎,脊椎,腰椎のどこかが曲がり,その領域の神経圧迫や血管を圧迫することにより様々な不定愁訴や全身随伴症状がおきてきます.咬み合わせを正しい位置にもどすと骨のゆがみや体軸の曲がりがなくなり,血管や神経圧迫を取り除きます.この方法を咬合治療といいます.

不定愁訴や全身随伴症状を改善するのに咬合が第一の条件であることは
1) 咬合平面の延長が第1~第2頸椎の歯突起付近にあること
2)下顎角が日本人平均125°より小さく,120°であること
3) 眼下窩下縁平面と上顎第一大臼歯口蓋咬頭平面が平行であり,左右下顎枝の長さと角度が同じであること
これらを満たすことが必要です.また,下顎角や下顎枝の長さに問題がある場合は上記した理想値に近い数値まで咬合治療(歯列矯正,補綴,外科処置など)によりバランスをとっていきます.
術前と咬合治療をおこなった術後をコンピューターによる咀嚼サイクルや限界運動の解析からもかなりの改善がみられることや不定愁訴の消失により説明・納得が得られます.

しかし,咬合のズレや傾きを体軸を整体調整しても,咬合がズレたままでは元に戻り,2~3日で再発してしまいます.また,単なるスプリント類でむやみに咬筋などを引き延ばすことは歯の歯根膜,骨,顎関節の受容体や下垂体にある咬合中枢に破綻をきたせるため,あまり得策ではないように思います.
咬合治療によって正しい咬み合わせをつくりますので,再発はほとんどないのが特徴です.

関連リンク
日本顎咬合学会 http://www.ago.ac/
咬合機能研究会 http://www.k5.dion.ne.jp/~kinoukog/index.html
咬み(噛み)合わせがおかしい

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