歯の喪失原因

【 歯の喪失の三大原因 : むし歯,歯周病,歯の破折 】

歯科の三大疾患はむし歯(齲蝕),歯周病と顎関節症で,歯の喪失とは密接な関係があります.
口腔系には歯,唇,口の粘膜,舌,顎関節,咀嚼筋群,表情筋の一部があります.歯科ではこの正常な発育と歯であれば虫歯(齲蝕),歯ぐきであれば歯周病,顎関節であれば顎関節の正常な形態と機能,唇であれば歯列の状態による唇の形,舌であれば嚥下,発音,発語に関係する舌癖と歯列の関係,咬み合わせ由来の咀嚼筋群や表情筋 の発育を正常に且つ健康に発育させなければなりません.これらを阻害する因子のひとつが歯の喪失です.
ここでは歯が喪失の3大原因である むし歯(齲蝕),歯周病 と 歯の破折 について説明します.

歯はなぜなくなるの(歯の喪失原因)

1990年 (15~20年程前),歯がなくなる原因は,20歳以下は齲蝕(むし歯),40歳以降は俗に歯槽膿漏と呼ばれる歯周病でした.2005年の調査では,齲蝕や歯周病で歯をなくす人は少なくなってきました.
その訳は,齲蝕は放置することで進行して歯がなくなりますが,きちんと修復処置や歯内療法をおこなうようになったこと,歯周病は原因である歯垢や歯石を定期的に取り除くためです.しかし,食べ物を食べるだけの歯の数多くなり,ついつい,硬固物 (豆類,タネ類,アメ,氷,乾燥食物など) を好んで食べる人が増え,その分,歯の破折は多くなりました.

歯がなくなる原因の多くは,1.むし歯,2.歯周病,3.歯の破折です.

歯を抜かなければならなかったはの理由は,1990年1~4月の総患者数832名うのうち42本の抜歯があり,齲蝕(C4の残根 20本),歯周病(P3の動揺歯19.5本),外傷歯(矯正の便宜抜去も含んで4.5本)でした.2005年1~4月の総患者数717名うのうち21本の抜歯があり,齲蝕(C4の残根8.5本),歯周病(P3の動揺歯7本),外傷歯(矯正の便宜抜去も含んで5.5本)でした / 日宇歯科調査,端数はヘミセクション : 部分抜去して残す方法です.抜歯数は少なくなったのに対して,歯の破折したために抜く歯が増えました.

1999年の日宇歯科の調査ですが,歯の喪失数を年齢別に見ると45歳以下は平均で2.5本,55歳で10本,65歳で15.5本,75歳で21.5本,85歳で26本の歯がありませんでした.45歳を過ぎた10年間単位で歯は急速に放物線を描くようになくなります.
これは老化で歯がなくなると考えがちですが,歯の数が減ると,残った歯が咬む顎の力を支えきれなくなって,残った歯に過剰な力が加わって,耐えきれずに次々となくなっていくのです.このことは歯がなくなった時にインプラントで補った人は10年後もほとんど歯の数は減っていかないことでわかりました.

80歳で20本の歯があれば,食事の咀嚼,発音,嚥下にある程度困らないとされています.日本歯科医師会では国民に対し,8020と称した運動を続けています.しかし,抜けた部分により咬める場合と咬めない場合があります.勿論,28本あったほうがより咬む力(咀嚼・踏ん張る力)や嚥下,発音,発語に有利です.この調査は口腔に異常がある人たちが歯科医院に来院した時点のデーターですので,一般的にはもう少し歯は残っていると思います.

歯の喪失の第一原因は口の中の細菌

【写真上】このように,無数の細菌が歯垢や歯石の中に潜み,少しずつむし歯や歯周病を引き起こしていきます.歯ブラシで物理的にこれらの細菌を取り除くことが必要です

歯科定期検診の必要性

1990年 (15~20年程前),歯がなくなる原因は,20歳以下は齲蝕(むし歯),40歳以降は俗に歯槽膿漏と呼ばれる歯周病でした.2005年の調査では,齲蝕や歯周病で歯をなくす人はかなり少なくなってきました.
その理由として
1) 齲蝕は放置することで進行して歯が溶けてなくなりますが,きちんと修復処置や歯内療法をおこなうことで歯が長持ちしたこと,
2) 歯周病の原因である歯垢や歯石を定期的に取り除き,咬み合わせをそろえていますので,歯周病が進行しないこと
3) 歯の欠損部にインプラント修復することで咬む力をインプラントにも分散させて,全体の歯に過剰な咬合力が加わるのを分散すること

この3点が患者さんが理解されてきたために,歯がなくなることは極端に少なくなってきました.

しかし,食べ物を食べるだけの歯の数多くなり,ついつい,硬固物 (豆類,タネ類,アメ,氷,乾燥食物など) を好んで食べる人が増えて,その分,歯のヒビや破折が多くなりました.
くれぐれも,硬固物を咬む癖とつまようじなどの悪習癖はお止めください.歯科定期検診でいろいろなことを尋ねられて,正しい口腔衛生法をマスターしてください.

【写真上】歯は老化でなくなることもありますが,歯の数が減ることによって残った歯に過剰な負担がかかり,相関的になくなっていきます.
・痛いときだけ来る人は最も歯の数が減っていき,
・6ヶ月に1度の定期検査に来る人は8020(80歳で20本歯を残す)は達成できますが,咬む力を支える本数に不安が残ります.
・6ヶ月に1度の定期検査に来る人で,歯がなくなっても直ぐにインプラントを入れる人が自分の歯が減っていくのを最も防げます.

歯科定期検診は予防も兼ねていますので,
治療するのと同じようにとても大事なことです.


歯が20本以上,残っていると他の疾患の医療費も安い

兵庫県歯科医師会が33,000人の70歳以上の人を調査したした結果では,一人頭の医療費は70歳で20本の歯が残っている人は17,000円,20本以下では22,000円と25%低いこと.また,癌,気管支など呼吸器系や循環器系の疾患が極度に低いことが解っています(8月13日,2005年).定期検査で歯を残しましょう.


歯科と医療費控除

治療費や診査費は医療費控除の対象となりますので,確定申告をすることによって実際の費用負担を軽減できます.医療費控除によって,税務署への簡単な確定申告でお金が戻ってきます.歯列矯正,顎関節症の矯正やインプラント等の治療費を計算する際には,ぜひこのことを念頭においてお考えください.

Q 歯科と医療費控除について教えて下さい?

A. 「医療費控除」は年間に10万円もしくは所得金額の5%のどちらか低い方の金額以上に医療費を支払った時に,確定申告をすると税金の一部を返還してくれる制度です.
医療費の領収書等を確定申告書に添付するので,領収書等は大切に保管しておいてください.

Q 控除される金額は ?

A. 控除される金額は下記の計算額になります。

所得税率は所得が多いほど高くなりますので、高額所得者ほど還付金は多くなります。

※1 控除額の上限は200万円までです.
※2 その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費.
※3 所得金額が200万円未満の人は,10万円ではなく,所得金額の5%を差し引きます.

Q 対象は医療機関に支払った医療費だけでしょうか?

A. 生計を共にする家族全員の医療費や処方箋でもらった薬代,薬局での市販の薬代,通院に関わる交通費,治療に必要な医療用器具などがあり,歯科では歯周病の治療目的での歯ブラシは医療控除の対象になります.
予防目的や人間ドッグは対象外です.
病院までの交通費も控除の対象となります。日時・病院名・交通費・理由を控えておいてください.
※車で通った場合のガソリン代・駐車場代は控除の対象となりません.ご注意下さい.

Q 同一家計の場合は ?

A. 医療費控除は,本人の医療費だけでなく,家計が同じなら配偶者や親族の医療費も対象となります.また,共働きの夫婦の場合で,妻が扶養家族からはずれていても,妻の医療費を夫の医療費と合算できます.収入の多い方で医療費控除の確定申告を行えば,それだけ戻ってくる金額が多くなります.

Q 医療費控除を申告するのに必要なものは?

A. 確定申告には 源泉徴収票,確定申告票,そして支払った医療費の領収書が必要になりますので,医療機関での領収書やレシートは大切に保管して下さい.サラリーマンの方も申告できますので,詳しくは税務署などの相談窓口にお問い合わせ下さい.

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