サプリメント

【サプリメントの見解】

よく聞いたり目にするものに,このサプリメントはこんな病気に効く,免疫力を高めるのはこれだ,はたまた,癌が治るなどと,医学では考えられないようなキャッチフレーズが出まわっています.2005年7月に根拠のない過大広告で病気に対するサプリメントは違法な行為として処罰されることになりました.熊本の○◯会社で販売されていたアガリスクは癌が治ると広告していたために,医学的根拠無しということで役員は逮捕されました.10月6日の新聞記事では「癌に対してアガリスクで治る」とした本は嘘であったため,出版社の編集部と会社社長ら6名が逮捕,さらに,それを支持した大学教授にも警察の手が入りました.結局はアガリスクのβグルカンは癌には無効であったということです.それどころか,2006年の2月14日の新聞には大手○◯会社アガリスク製品について厚労省でラット毒性試験をおこなった結果,このメーカの製品に限って発ガン作用を促進すると報告され,販売中止しました.それまで信じて飲み続けた人はどうなるのでしょうか?

他にも沢山このようなフレーズで販売していたサプリメント会社は,この2004年には過大広告や虚偽キャッチフレーズをインターネットからも消しています.
でも,薬剤などがあまり効果がなく,体質だからとサジを投げられ,途方に暮れている人にはこのようなキャッチフレーズや根拠のない話題に「もしかしたら効くのではないだろうか」と気になることでもあります.

サプリメントはその効果について信頼のおける臨床試験で効果の比較検討がおこなわれていないものがほとんどで,「効きますか」という質問に明確に答えられる科学的根拠がないものが多いのが現状です.私の会社はきちんとした研究実績に乗っ取っているといわれる製品も確固たる論文がなく,応用しただけ,もしくは,論文一人歩き(どこにもない論文を誰かが引用したかのようにして書き,その論文がいろいろに索引されるのですが,その根拠はどこにもないこと) のようなものがほとんどです.
権威ある科学誌サイエンスでは抗酸化剤は ビタミンC が,唯一実証データーがあるとされています(~2004年).
さらに,2005年8月19日,販売されている健康食品の効果を農林水産省で今後5年間調査するとの報道がありました.有効成分の結果が楽しみですね.

体調改善には腸内細菌の種類,サプリメントによる不足した栄養素の補給,ストレスの発散によりある程度おこなえますが,体質改善はDNAの関与が大きく,人それぞれ SNPs という遺伝子情報の配列が異なりますのでので,あの人が効いたから,私も効くというようなことはありません.体質のほとんどは DNA から作りだされる人それぞれの蛋白に起因し,生後,いろいろな食物を食べたり,いろいろなものに接することで,獲得免疫ができあがります.
夢のような話しは根拠が必要ですが,サプリメントの研究はあまりおこなわれていません.この「サプリメントって?」をご覧になられて,考えてみてはいかがでしょうか.

サプリメント(栄養補助食品)のきっかけ

サプリメントは1975年に「アメリカ人の不健康の源は食生活の中の栄養不足にある」という報告書がマクガバン上院議員から提出された事に端を発します.このレポートは医師,科学者,生化学者の協力を得て,過去の臨床データ,医療報告,栄養学的分析をしたものでした.
広く普及したのは1994年にアメリカで栄養補助食品健康教育法(DSHEA)が成立し,食品の医薬品の中間的存在である,サプリメント(栄養補助食品)が定義されています.(日本は医薬品と食品のみ)これが基でアメリカではビタミン剤や栄養補助食品市場が急速に耳にするようになりました.10年程前にはロイヤルゼリー,2年程前はマキシモソルーション,2004年は肌が少し若返ると言われていたコエンザエムQ10がベストセラーでした.日本でもノニジュース,カテキン茶,フラボン茶,アガリスクなどが流行りました.

なぜ,サプリメント(栄養補助食品)に頼るのでしょう

健康の基本は食生活と運動です.一般的な日本人の食生活では3大栄養素(炭水化物,脂質,タンパク質)は充分で,きちんと食事をとっている方でも多くの人が不足しているのがビタミン,ミネラル,繊維質といわれています.サプリメントはこれらの不足しがちな成分を補うことから始まりました.
しかし,サプリメントで病気が治ると過信し過ぎて,一人歩きしているのも事実です.
あるサプリメント会社の説明には
「私は好き嫌いもなく,生野菜も毎日食べてるし・・・でも,ビタミンCの必要量はの王者ブロッコリーでも4房 /日 分です.繊維質の場合はキャベツ3.3kg・・と,気の遠くなるような量ですね.これが現代の野菜の実力なんですね.ビックリ!わたしはそんな食生活にはたえられません! 人間はただ栄養を補給すればいいというわけではありませんし,なるべく自分の好みにあった食事をしたいですよね.ですから,なるべくバランスのとれた食事を基本にし,サプリメントはその食事で不足してしまう栄養素を補う目的で摂るのがいいでしょう.」と記していました.果たして全てが本当のことでしょうか.長生きしている人が毎日キャベツ3個も食べてきたのでしょうか ?
次には 「自分にあったサプリメントは?と見出しがあり,ほとんどの方は基本はビタミン,ミネラルがバランスよく配合された物を選びましょう.そのほかは,各個人の症状にあわせて,メーカーの説明に従って選びます.アメリカのメーカーの物で良品はきちんと症状を明示して効果がうたってあります. しかし,アメリカのメーカーでも粗悪品はありますから注意してください.・・具体的な選ぶ際の注意はサプリメント選び実用編をご覧下さい」・・と商品選びです.長生きしている人が毎日キャベツ3個の代わりにサプリメントを飲み続けてきたのでしょうか ? 日本ではサプリメントが認知されて,まだ5~10年位なのですが・・?

 自分が元気な時は笑いですむことも,いざ病気がちになると飛びつきたくなるフレーズです.

サプリメントのラベルに標準摂取量として,1日1カプセルとか3カプセルとか記載してあることがありますが, 有効成分量になおすとこれも各社まちまちです.有効成分がその製品にどれだけ含まれており,どれだけ摂取しないといけないのかを知る必要があります.
例えばビタミン類は水溶性と油性があります.ビタミンAの薬品やサプリメントは体内に蓄積され,摂取し過ぎると疲労感や吐き気,睡眠障害,食欲不振,皮膚の荒れを引き起こしてきます.カルシウムは腸からの吸収量がありますので,Mg やビタミンDを一緒に供給すると吸収率は上がりますが,必要以上の供給は排出されます.

でも,薬が一番効きます

サプリメントは健康食品の一種で効果は低いということを認識していてください.サプリメントは健康を補助する働きでしかありません.厚労省で認可してある薬は効果が高いのは当たりまえのことです.
例えば,医者から貴方は○○病気と診断されたとしたら,処方された薬を飲んでください.そうしないと病気は治りませんし,どんどん悪くなっていくことが予想されます.

 

ストレスの緩和にサプリメントはあまり有効とはいえません

ストレスの定義

ストレスという概念を医学で初めて用いたのが,カナダの生理学者ハンス・セリエ博士で,日本ではストレッサーにあたる原因に関してもストレスといわれることが多いのですが,本来はストレッサーに影響されて起こる生体反応のことをさし,外部からの刺激(ストレッサー)を受けて、生体に起こる反応を「ストレス」といいます。

ストレスは受け手によって異なります.言い換えますと,ストレスは人それぞれに感じ方が異なるので,一概には捉え方が異なります.例えば,勉学は記憶能力,理解力,展開能力寝学習反復ですので,ある人には深刻な問題でも,別の人には何でもないことがあります.楽しみと捉える人もいるでしょう.運動についても運動能力や動体視力が高ければそれほどストレスにはならないでしょう.しかし,感情や感覚については脳内物質や経験学習が関与しますので大きく異なります.また,人生において受け手の心身の状態によって大きく変わりますので,心身が元気で健康なら,一時,落ち込んでもでも元に戻りますが,不調だと小さなストレスでもダメージが大きくなってしまうのです.心の病気の場合になると,受け取りかたが大きく違います.
心の病気は脳内物質の正常な量,シナプスの受け渡しと戻しといわれていますので,そうなる前に睡眠をたっぷりととり,脳内物質を整えてください.脳内物質を作るのはDNAです.

ストレスは学校,職業上の人間関係など,心理的・社会的な要因を指すことが多く,過労もストレスです.さらに,季節・天候や環境の変化,騒音や悪臭,病気などの自分では避けようのない要因も,ストレスとなります.つまり生きている以上,ストレス・ゼロという状況はありえませんし,現代においてその人にかかるある程度のストレスが励みとなり,人間形成や仕事能力を増していきますので,適度なストレスは必要です.体調調整にサプリメントを使うのはいいとしても,過度のストレスと感じること,過労などは心と体に問題を生じますので,サプリメントだけでは解決しません.まず,以下の 6 つのストレス対策をおこなってください.

ストレス対策の6つの基本

1) 不要なストレスはかわす  仕事を抱え込んだり,トラブルになりそうな人間関係に首を突っ込んだりして,心が疲れていませんか? あなたには負担が重すぎる事柄やあなたが関わらなくてもよさそうなものからは”避ける”決意も必要です.
2) たまったストレスは発散する  気をつけていても,知らずしらずのうちにストレスはたまってしまいますから,早めに発散していきましょう.発散方法は,十人十色,ケース・バイ・ケースです.そのときどきで,決めていけばいいのです.  でも,好きなことばかりしていても,逃げていることと同じで,なんの進歩もありませんので,思考パターンを見直しましょう.
3) 思考パターンを見直す 「自分はいつも失敗する」「自分だけがいつも損している」などと,ストレスを感じやすい思考パターンをしていませんか? このようなマエナス思考は心が疲れていることが原因です.できごとについて,いやな気持ちが起きたときの状況や,そのとき浮かんだ考え,あとで考え直したときの考えの3つを具体的に書き出して,記入して,まとめてみましょう.
4) 早寝・早起きで生活にリズムを  生活のリズムが乱れるとストレスに弱くなる傾向があります.セロトニン等の感情をコントロールする脳内物質は寝ている時につくられますので,特に,夜更かしが続いて睡眠不足になっている人は要警戒です.ろくなことは考えませんし,考えもちがツタ方向に行きがちです.夜は12時までには就寝し,十分に睡眠をとりましょう.
5) 朝食を必ずとる  ストレスがたまると,朝が弱くなることが多いのです.特に抑うつ等は朝起きるのがきつい状態になります.また,朝食をとる気がなくなったら,注意! 前夜から長時間エネルギーを補給していないわけですから,朝食は1日の食事のなかでももっとも重要です.朝食を余裕をもって食べられるように早起きしましょう.
6) 疲れを感じたら、ゆっくり休む  疲れはそれ自体でも大きなストレスです.しかも,疲れがたまるとさらにストレスを呼び込んでしまいます.疲れが軽いうちには看過しがちですが,無理は禁物です.心身を休ませる機会を意識的につくっていきましょう.


脳内物質をつくるサプリメント ?  ・・ストレスの軽減になるのだろうか ?

脳内物質は約110種類あるといわれていますが,その研究はほとんどされていないのが現実です.

脳内物質の種類 脳内物質と感情や行動 脳内物質をつくること
ドーパミン 「快」に関わる脳内物質.この分泌が多いと食欲や性欲がわき,やる気がみなぎる.陶酔感など本能の快感を刺激して,恋愛やひとつのことを成し遂げた充実感などはこの作用.
ノルアドレナリン ネガティブな気持ちを引き起こす脳内物質.この分泌が多いと不安やストレスが増す.
セロトニン 平常心をもたらす脳内物質.この分泌が多いとストレスに対して動じない心をもたらし,頭のさえた,冷静な状態を保つ.前向きな気分など情動系に刺激・覚醒,睡眠,意欲に関与し,不足すると鬱になったり,性欲,食欲亢進します.セロトニンが慢性的に減少すると自殺へとつながる危険性もあります. 睡眠中に作りだされる規則的なリズム運動
アセチルコリン 頭が冴える,学習,目覚め,集中力,積極性などシナプス伝達物質 に関与し,アルツハイマーでは減少 しています. コリンは卵黄,レバー,小麦胚芽,米胚芽,大豆,酵母
βエンドルフィン やエンケファリン (オピオイド系) 痛みの緩和,幸福感などの感覚が麻痺 「時間湯」1日4回,47℃の熱湯に3分間入浴すると5分後に末梢血液中のβ-エンドルフィンは著しく増加し,60分後には入浴前値に戻った.なお42℃,10分間の入浴ではβ-エンドルフィンは増加しない.でも,47℃の熱湯に3分間入浴したくない.恋愛のほうがいいかも.
L-グルタミン酸 平常心,記憶の伝達作用に関係します. コンブ,トマトなどに大量に含まれている
アンダナミン 陶酔状態なとマリファナ作用
ギャバ ( γアミノ酪酸) リラックスさせ脳の興奮を抑制する.特にギャバは我慢に働く. 発芽玄米

例えばいつもやる気まんまんで,食欲も性欲も旺盛な人は,ドーパミンの分泌量が多い人です.いつもクヨクヨ悩んでいて,ストレスを受けるとすぐ気持ちがなえてしまう人はノルアドレナリン量が多いといえます.
セロトニンは落ち着きと安定感をもたらす神経伝達物質で他の神経系に抑止的に働くことで,過剰な興奮や衝動・抑うつ感を軽減します.セロトニンの分泌を増やし、ストレスに強くなります.
セロトニンが不足すると,鬱状態になったり,暴力的になったりします.幼児期に安全な環境になかった動物はセロトニンの分泌能力が低く,セロトニン濃度の低下が見られやすいといわれています.また,ストレス環境に長期間いた個体はセロトニンが枯渇に近い状態になっているので,興奮や衝動・抑うつ感を抑制することが難しくなると言われており,殺人・殺人未遂・自殺未遂を起こした成人や子どもは,セロトニンの濃度が低いことが確認されています.逆にセロトニンの過剰は,てんかんをもたらすと言われています.
セロトニンの分泌を活性化させる方法はリズム運動で,キシリトールガムを咬む,自転車をこぐ,歩くなど,誰でもできることで十分ですので,毎日20~30分間ひたすら続けることが肝要です.セロトニンの分泌を活性化させようセロトニンは不規則な生活を送っていたり,日光に当たる機会が少ないと,分泌が少なくなります.また,息をつめる生活も分泌を弱くします.夜型の生活で起床も食事の時間もバラバラ,毎日遅くまでゲームやパソコンに集中し,息をつめる生活を送っていませんか? こうした生活習慣はセロトニンの分泌を弱らせることにつながります.

脳内麻薬様物質(オピオイド)は交感神経系の興奮によって,ギャバ神経系から分泌されるエンケファリン,エンドルフィンなどを指します.オピオイドは阿片などの麻薬に極めて近い構造をもちます.オピオイドの大量分泌により,精神活動の麻痺や感情鈍麻といった状態に入ります.これは,闘争も回避もできない深刻なストレスにさらされた生物に「最期の救い」をもたらします.精神活動の麻痺や感情鈍麻によって,完全な降伏と受身の態勢をとり,現実感のなさによって生物は「静かに捕食者の餌食となる」のです.オピオイドの過剰放出は大脳辺縁系の扁桃体,海馬などにダメージを与えることで知られています.扁桃体に損傷を受けた個体は「恐ろしいもの」「いやなもの」に直面しても避けようとしなくなります.また,マラソン中にオピオイドが分泌されることはわりと有名でマラソンによってオピオイドが分泌された状態のことを「ランナーズ・ハイ」と呼びます.オピオイド濃度の上昇は,他にも手術,接食障害者の嘔吐などで確認されていて,また,リストカット,車での暴走等の自傷行為によってもオピオイドは上昇するそうです.オピオイドの大量分泌は離人症的な症状をもたらし,現実感の喪失,自己と外界を隔てる透明な壁のある感じ,自分のことを遠くで自分が観察している感じ,自分の手足の消失する感じなどです.

精神安定として働く食品成分
カリウム ,カルシウム,ギャバ ,クエン酸 ,トリプトファン,ドコサヘキサエン酸(DHA),ナイアシン,ビタミンB1 ,ビタミンB12,ビタミンB6 ,カロチン ,マグネシウム ,メチオニンなどが有効とされています.しかし,これらの成分を一度とったくらいでは効き目はなく,2~3ヶ月とり続けることで,ストレスの軽減になると考えられています.

サプリメント効果をプラセボ効果 と間違えないで

実際にサプリメントをためして効いたという人がいるとしますと,この効果は本当に商品のおかげでしょうか? よく間違えがちなことに,プラセボ(偽薬)というものがあります.
特に異常がないのに胸が苦しくて死にそうになる人がいます.その人に「これが特効薬だよ」といって砂糖の粒をわたします.それを飲んだ患者さんの発作は見事消失し「先生,あの特効薬,すごく効いたのでもっとください」といったぐあいになり, それからはその人の発作は消失してしまうということがよくあります.これがプラセボ効果とよばれるものです.
同様のことは,医薬品の臨床治験時にもみられます.新しい薬を投与する人たちと,偽薬組にわけるのですが,偽薬組にもかなりの改善がみとめられることがあります.気の持ちようか,自然に治ったかはわかりませんが,偽薬でも効く人がでてくるので本当の効果を評価するにはこのような真薬と偽薬の比較が必要となります.
多くのサプリメントはその試験がなされておらず,効くというのが単にプラセボ効果の可能性が大いにあります.

実際にいろいろな成分による抗酸化効果を調べた科学誌サイエンスには抗酸化効果があるのは ビタミンC だけで,他の成分にはほとんど差異はなかったと記されています.

最初は効いたと感じた,サプリメントが効かなくなるのはなぜ ?

サプリメントによるプラセボ効果もひとつの要因です.また,人には遺伝子は23対ありますので,ひとつの蛋白が異常をきたすと,それを補おうとする蛋白が他の遺伝子からでてきて,調節します.体調が悪いときは,その原因となる蛋白に異常があるか,出ていないのですから,それを補うために他の蛋白が手助けしています.偶然にもサプリメントが有効である場合は,体調は改善してきますが,無効である場合はかえって体調を崩すことも考えられます.
また,一時期は効いたサプリメントもすこしずつ効かなくなるのは以下のことが考えられます.

・そのサプリメントはプラセボ効果であった.
・サプリメントの作用で,自己の蛋白がでなくなったり,異常をきたす(フィードバック機構の阻害).
・サプリメントの効果以上に不適格な行動や体への侵襲がある
(例えば,二日酔いに有効とされているセサミンやプロポリスを飲んでいても,それ以上に深酒をする)
・サプリメントの服用で元来生体で作られる蛋白が必要なくなり,作くる量が少なくなり,相互的な働きが低下する.

逆に,もともと遺伝子異常で作れない蛋白の代用としてサプリメントを摂食するのはいいかもしれません.そのような場合は,専門医師と相談し,その症状にあったサプリメントを試すのも,ひとつの方法や納得の手段なのかもしれません.


 

抗酸化効果があると記されている成分

抗酸化作用って ?

抗酸化作用とは活性酸素/ ROS ; reactive oxygen species に自らの電子を渡して活性酸素を普通の酸素に戻す能力です.
体内に取り入れた酸素のうちの2%が活性酸素になるといわれており,大きく分けて5種類(スーパーオキシドイオン ヒドロキシルラジカル,過酸化水素,一重項酸素,過酸化脂質)が確認されています.その5種類の活性酸素は様々な性質を持ち,細胞膜を傷つけたり,DNAを傷つけて遺伝情報を壊したり,コレステロールを悪玉コレステロールに変えたり 老化,白内障や緑内障,ガン,血管をボロボロにする脳溢血,心筋梗塞など病気発生の9割に関係すると考えられています.
これらの活性酸素を取り除くものが,抗酸化作用です.

抗酸化剤には ?

抗酸化剤は元々体内で精製される蛋白である高分子抗酸化剤と食事や飲み物などから取り入れる低分子抗酸化剤 (SOD様製剤)があります.

21番染色体下腕にSOD遺伝子があり, 活性酸素を消去する働きがある. その働きは人によって,年齢によって も異なります. 1) 高分子抗酸化 / super oxide dismutase : SOD 染色体上 2) 低分子抗酸化剤 / ( SOD様製剤 )  食品から取り入れる
  カタラーゼ / catalase,
グルタチオンパーオキシダーゼ / gultatie peroxidase GSH-Px
リン酸グルコース抗酸化剤
カロチン(リコピン),ビタミンB群,ビタミンE,ビタミンC,フラボノイド( ポリフェノール, カテキン/タンニン,ハーブ )DHAセサミン

プロポリス

高分子抗酸化剤は体内のDNAから作られる蛋白で,他の動物より多く産出されます.人が他の動物より長生きできるのはこの抗酸化剤があるからだとも考えられています.低分子抗酸化剤は食物から摂取するもので,野菜,酢,魚に多く含まれます.日本古来の言い伝えに野菜を好き嫌いなく食べる人は長生きできるなど,抗酸化食品を多く摂ることが健康にはいいのです.要は病気にかかりにくい自己免疫力や治癒能力の手助けをするということです.
体内で 高分子酸化剤であるカタラーゼ,グルタチオンパーオキシダーゼ ,リン酸グルコース抗酸化剤を作れる人はやけどや切り傷が人より早く,1週間以内で治ります.病気をしにくい,若い,体調等も関係があるようです.いつまでも治りにくい人は不足していることも考えられます.
しかし,高分子抗酸化剤は老化とともに少なくなってきます.これら生体で作られる高分子抗酸化剤の代用として食物から取り入れ,消化器官で吸収できる低分子抗酸化剤が長生き,疲労回復に役立ちます.
主な低分子抗酸化剤としてカロチン(リコピン),ビタミンB群,ビタミンE,ビタミンC,フラボノイド( ポリフェノール,カテキン/タンニン,ハーブ ),DHA,セサミン,プロポリス,酢を配合させたサプリメントがもてはやされてきたのです.ただ,自分の遺伝子から作られる高分子抗酸化剤よりはるかに効きが悪いのですが・・・・?

効果があるサプリメントをどのように選んだらいいのでしょう

私たちが口にしている野菜や果物は半世紀以上大量の農薬使用や品種改良の結果,見栄は良くてもやせた土壌から取れる栄養素の少ない食べ物になっています.さらに冷凍・加熱や缶詰にして保存することで,必要な栄養素がさらに失われてしまっています.そのほか現代人の生活習慣に起因するところが多くあります.その摂取量が医学的根拠に基づいているかどうかも重要です.

摂取する食物として,食物自体の栄養素が減少,農薬や環境ホルモンが残留した食品,保存料や着色料,添加物が多い,精製,加工度が高い食品などがいわれています.また,生活習慣で悪影響を与える運動不足,偏った食生活,飲酒,睡眠不足,喫煙,仕事などによるストレス等が挙げられます.
私たちが食事をする理由は大きく分けて栄養を摂る,食欲を満たすことです.本来動物はこの2つを同時に行い食欲を満たす=栄養を摂るになっているのですが,人間は食欲を満たす≠栄養を摂るになってしまうのです.
食事だけで必要な栄養素をすべて摂るのは難しいので,簡単便利なサプリメントで食事の一部として摂るという発想なのでしょうか.そのほか要因としては,私たちの社会はどんどん高齢化社会へと進んでいき,ミネラルの補給などが必要になっていきます.そういう観点から的確なサプリメントは,補助手段として必要でしょう.

嬉しいことに一部のサプリメントは非常に効果的に作用しているものもあります.一部はサプリメントにもかかわらず,医薬品並に二重盲検試験がなされていたり, 他国で医薬品として使われているものもあります.ただ,個人差が大きいので,それらの効果のみをひたすら信じてやみくもにつづけるのは良くありません.人によっては劇的な効果があっても,他の人には副作用しかもたらさないという話も実際問題存在します.これには,その人の遺伝子情報の SNPs が異なるためです.ご自分の体調から下の表の「抗酸化剤の種類,効果の早見表」で試してみたい成分を考えてください.

 病気したらサプリメントに頼らず,直ちに病院で的確な治療を受けてください.早期癌などの60~80%が完治しているのも現代医学ですので,現代医学で治療することが全世界で最も的確な方法です.サプリメントは予防や病気を治すところに位置していないこと,サプリメントで治せる病気はあまりないこと,を認識していてください.あくまでも,栄養補給の補助手段のひとつです.

抗酸化剤の種類,効果の早見表

ビタミンA β-カロチン 緑黄色野菜 ビタミンAの前駆体μgRE 男性/700~750μg,女性/600μg 薬品やサプリメントなどのビタミンAは体内に蓄積され,摂取し過ぎると疲労感や吐き気,睡眠障害,食欲不振,皮膚の荒れ
レチノール レバー,ウナギ ビタミンAは脂質に溶ける脂溶性なので,油で炒めて食べると吸収率が上がります.
リコピン トマト,スイカ ビタミンAには変換されない,ビタミンEの100倍の抗酸化力 ?.
ルティン ケール,ホウレンソウ,ブロッコリー,グリンピース,レタスなど カロチンの一種で,目のビタミンと呼ばれ,疲れ目防止,目の角膜を守り,白内障や緑内障を防ぐ効果 野菜の一日の必要量は350g,そんなに摂れないからサプリメントで補う??
ビタミンB ビタミンB2 細胞の再生や成長を促進,脂質代謝の促進,糖質代謝に関与.粘膜を保護. 不足すると口内炎,口角炎,目の充血,角膜炎
ビタミンB群にはB1・B2・ナイアシン・B6・B12・パントテン酸・葉酸・ビオチンの8種類 新陳代謝の機能をアップし,若返る.ニキビに有効.タバコを吸う・お酒を飲む・甘いものを良く食べるならビタミンB1をたくさん摂りましょう! ビタミンB2は髪,皮膚,眼精疲労に ビタミンB12は体の成長を促進,食欲増進※ビタミンB群の効用は下記に ビタミンB12は隠れ脳梗塞,鬱病,糖尿病,手足のしびれ膝・腰の痛み目・脳の疲れ,顔面神経痛,痴呆,悪性貧血,頭痛,集中力の欠如,学習能力の改善・不登校児に
ビタミンC アスコルビン酸 柑橘類 強力な抗酸化作用で,コラーゲンの合成,悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値をあげる, 食品添加物や化学物質などの有害物質を解毒, 乳酸などの疲労物質の処理を早める,鉄の吸収を助ける,シミ,そばかすを防ぐ, 風邪やインフルエンザの予防,インターフェロンの働きを高める抗ウイルス作用
ビタミンE α, αコフェロール β,γトコフェロールなど全部で8種類. かぼちゃ・卵黄・しそ・豆乳 αコフェロールは細胞膜の抗酸化(動脈硬化,心臓病,ガンなどの予防), 呼吸器を守る, 運動能力を高める,過酸化脂質が作られるのを防ぐ,血行をよくする。 しもやけ,冷え性.肩こりにはビタミンEの供給,生で摂る.
αコフェロール
カルシウム カルシウムは筋肉の収縮作用,神経の働きを正常に維持し,ストレスに対する抵抗力を高めます.大腸癌の予防.細胞と細胞を結びつけているコラーゲンの生成を助ける.強い抗酸化作用 成人男性/700mg,成人女性/600~800mg カルシウム不足をほっておくと,血管障害,骨粗しょう症,肩こり,腰痛,歯周病
カテキン (タンニン) 各種お茶(緑茶,ウーロン茶,紅茶) 抗ガン作用と抗微生物作用,良質な緑茶から抽出されたポリフェノールはビタミンEの10倍,ビタミンCの80倍というすぐれた抗酸化作用
フラボン系 (植物に広く含まれる色素成分の総称で、主に野菜や果物などその数は4000種類以上.ビタミンPと呼ばれるヘスペリジンやルチン) 別名 ポリフェノール フラボノール類 配糖体の種類 アビゲニン : こうりゃん、ダリアの花         ケルセチン : タマネギ最外部の黄褐色の皮 ヘスペリジン : 温州みかん、だいだい、ポンカンの皮 アビイン : パセリの葉 ナリンジン :夏みかんの皮、グレープフルーツ シトロニン : レモン ダイジン : 大豆 トリシン : 小麦 ルチン :そば、茶 フラボノイドは、毛細血管を保護・丈夫にし,その吸収力を調整する作用がある事が知られています. 抗酸化性, 抗変異原生,抗ガン性,血圧上昇抑制作用, 抗菌・抗ウィルス作用,抗う歯(虫歯)作用,抗アレルギー作用,花粉症
イソフラボン類 大豆
ハーブ お茶です.ハーブは草という意味で日本語ではでは香草・薬草 マティ茶の効用は肥満防止・食欲増進・強壮作用
DHA ドコサヘキサエン酸 青魚 中性脂肪,コレステロールの低下効果,アトピー,アレルギーへの効果
プロポリス プロポリスはフラボン系を含む 蜂蜜,ローヤルゼリー,蜜ロウ,花粉 皮膚疾患ではやけど,水虫,ウオノメ,アトピー性皮膚炎,ウイルス性皮膚疾患など.内科系では胃炎,胃腸潰瘍,十二指腸炎,大腸炎,膀胱炎,腎臓炎,前立腺障害,喘息,気管支炎,結核,肝炎など.動脈硬化や貧血にも効果とされている.目の炎症,歯痛や口内炎,歯槽膿漏,さらには二日酔いや育毛効果.
セサミン セサミノール ごま,ゴマ油 悪玉のコレステロールを減少させ,動脈硬化を防ぐ効果が高脂質血症の改善,肝機能を活発にして肝臓の負担を軽くする作用もあり.肝臓病や二日酔いにも有効です.
クエン酸 純天然醸造酢 (合成酢は不可) 副腎皮質ホルモンの働きを活性化し,免疫力増強.アルカリ性に保ち,血圧をコントロールし,乳酸の発性,コレステロール,中性脂肪,過酸化脂肪酸を抑えて血管梗塞を防ぐ. 血液が酸性に傾くとともに、疲労・思考力の低下・けいれん・肩こりなどの症状,高血圧も乳酸が原因ではないかといわれています.

 

※ ビタミンB群

ビタミンB1(チアミン) 水溶性のビタミンで、腸内細菌からも合成され、体内に吸収されます。B1は細胞内でのエネルギー生産に大きく関係しています。体内でブドウ糖を分解するときに働くカルボキシラーゼという酵素の補酵素がB1です ビタミンB1にはイライラをなくし、情緒を安定させ,乳酸を取り除く効果があります。ビタミンB1が不足すると、憂鬱,イライラ,だるく疲れやすい,動悸,息切れ,食欲不振などの症状が出ます
ビタミンB2(リボフラビン) 水溶性のビタミンで腸内細菌からも合成されます。細胞内で行われる、酸化還元反応の触媒となっている酵素の補酵素として働きます。エネルギー生産,脂肪酸の燃焼,成長と細胞の再生の促進,過酸化脂質の分解,胆汁酸・コレステロールの合成などさまざまな生理作用に関わっています ビタミンB2が不足すると、無力感,老化,体の衰弱,体力の低下,口内炎,目の炎症,生理不順などさまざまな症状が出ます。
ビタミンB3(ナイアシン) ビタミンB群の中では最も必要量が多く、一部は体内で合成されます。ニコチン酸とも呼ばれていたビタミンで、ニコチン酸とその化合物のニコチン酸アミドの2つの総称がビタミンB3です ビタミンB3には、神経や精神を安定させ,インスリンの合成を助け、糖を代謝しエネルギーへ変換する働きあります。不足すると食欲不振,下痢などの胃腸障害や興奮やイライラなどの精神障害を起こします
ビタミンB5(パントテン酸) 一部は腸内細菌により合成されますが、ストレス,薬物などにより腸内の状態が悪くなると欠乏症になります ビタミンB5には、脂肪の分解・合成,副腎皮質ホルモン,性ホルモンの合成,免疫抗体や神経組織・筋肉組織の生産などの働きがあります。不足すると、居眠り,食欲不振,めまい,疲労感などの症状が出ます
ビタミンB6 ビタミンB1,B2,B5,ビタミンCとの相乗効果で最も力を発揮します。ビタミンB6はタンパク質に含まれるアミノ酸を分解したり、作ったりする働きをする「トランスアミナーゼ」という酵素の仲間で、体内のアミノ酸代謝の主役となります ビタミンB6には、インスリンなどのホルモンや神経伝達物質,ヘモグロビン,ブドウ糖からグリコーゲンの合成などの働きがあります。不足すると、体力低下,末梢神経炎,神経過敏,いらいら,コレステロール値上昇,アレルギー症状などの症状が出ます
ビタミンB12 脳や神経細胞の活動を助け,葉酸の働きを助け、細胞を作る働きを強める働きがあります。 不足すると、胃腸の不調,子供の成長障害などの症状が出ます。
葉酸(フォーリック・アシッド) ビタミンB12やビタミンCとの相乗効果で最も力を発揮します。主な働きは、赤血球を作る,細胞が新しく作られるのを助ける,健康な皮膚を作るなどです
ビオチン(ビタミンH) 腸内細菌によっても合成されます。主な働きは、糖や脂肪の分解を助ける,はげや白髪の予防などです

癌にある程度抗酸化剤が有効かも~ ! これは大嘘です

NCI 全アイルランド癌会議議事録「食事と癌」について以下のような発表されています.
その要約は「抄録には諸国間ので癌発生率の大きな違い,移住してきた人々の癌発性率の著名な変化,環境や食生活など急速な変化が生活様式や環境が西欧諸国で癌の発生に多様性がある.
食事での脂肪摂取は,早期月経や成人期体重増加の要因となる過剰なカロリー(ポジティブ・バランス)が乳癌と大腸癌の重要な決定因子で,動物実験の膨大な調査と一致している.一般的に果物や野菜の摂取が多いことが癌の減少に関わっている言われているが,誇張された声明であり,大腸癌発生と葉酸代謝にある酵素であるメチレンテトラハイドロ葉酸還元酵素の遺伝子の多形現象によって関連があり,その根拠は明確ではありません.

1981年の癌死亡を減少させる合衆国の検討では,Doll とPetoは食事因子により最大35%の癌死,同じ様にやタバコの影響よると発表しました[1].しかし,食事が要因というのは追跡調査が不可能なことから不正確です.

それから20年間に食事と癌に関するデーターは膨大し,西欧諸国での予防可能な割合の定量的な推測は、Dollと Peto[146]が以前に示唆したように約30%から 40%に[84・151]留まっています.特別な栄養についてより多くのことが分かってきています.
・調理された食品や食事の油等の有害な食品成分を避ける
・食事,特に果物や野菜の予防的な因子は癌種によってはなお支持されていますが,過大評価である
・子供期の急速な成長と成人期の過体重に見られるような過剰な熱量(エネルギー)摂取と身体運動の不足が,大腸や乳房の癌で多い.食事は栄養と心血管系疾患予防を確立させる必要がある.」

ということで,害のある調理法,食種と過剰なカロリー摂取,運動不足から考えていき,サプリメントに頼るのは不自然であるということです.

NCI 全アイルランド癌会議議事録 食事と癌要約と提言:がん予防7カ条-Walter C. Willett-
1. 肥満と成人期での体重増加を避けるよう。過剰対脂肪は幾つかの重要な癌の危険性を可成り増大することが確実で、また心血管系や糖尿病の主要な原因でもあります。単に成人の標準体重指針(BMI =19-25 kg/m2) 以内を保つだけでは、十分ではありません、というのも成人期に入る頃肥満でない多くの人が、30~40ポンド(ポンド=0.45kg)増えてもこの指針内に留まるからです[ 152]。そのような人については、合衆国で大部分を占めていますが、20才での体重の5~10ポンド以内に留まることが、簡単な指針です。普通に年齢がいくと殆どの人が体重が増えると思っている多くの米国人にとっては、これは極端に聞こえるかもしれませんが、日本や世界の多くの所で、これは普通のことです。

2.殆どの毎日、最低30分中程度から激しいく活動しましょう。

身体活動は体重コントロールの基本となる方法で、かくてこの目標は体重コントロールと密接に結び付いています。しかし、身体活動はそれ自体で大腸癌の危険性を減らし、そして高いレベルの活動は乳癌の危険性を減らすかもしれませんが、このデーターは一致度がすくないのです。心血管系の病気どの恩恵は十分確立しています。中等度から激しい活動を一日30分という広く勧告されている目標は、最小ということで、従来の伝統的な社会での生活様式と比べると低いものです。

3.一日当たり、果物と野菜を五盛り取るように。

一日当たり果物と野菜の取り方を五盛に増やすことはある種の癌、肺と食道そして恐らく乳房とその他の癌を含み、の危険性を減らします。しかし、非喫煙者はこれらの癌の危険性が低く、その恩恵は控えめです。特別な果物や野菜とそれらの危険性との定量的な関係について、有望な調査によるもっと多くのデーターが必要です。というのも、色々な野菜や果物は殆どが確かに明確な生物学的な効果をもっているからです;或るものはある種の癌に特に利益を持ち、そして或るものは有害にさえなることがあります。最近合衆国指針はじゃがいもを野菜として含め、これらが(フレンチ・ポテトとして)最近の消費増大の主なものと説明されています;しかし、じゃがいも消費の増大や澱粉一般が癌や心血管系疾患の危険性を減らしている、という明確な根拠はありません。

4.赤身肉を鶏肉・魚肉・ナッツや豆類に代え、乳製品は多くても 程々に取るよう。

鶏肉・魚肉・豆類やナッツに代えて、赤身の肉の摂取は多くても月数回に制限することで、大腸癌の危険性をほぼ確実に減らし、根拠は未だ結論を得ていませんが、前立腺癌の危険性を可能性示唆的に減らします。この食事変化によって、血中脂肪を改善し冠状動脈性心疾患の危険性をおおいに減らすようです。乳製品の癌と心臓病予防上の役割については、明確ではありません。乳製品の取り過ぎは多くの調査で前立腺癌と関わりがあり、最近の幾つかの調査では脂肪は対応する責任はないかもしてないと示唆されています。高脂肪より低脂肪乳製品の使用推進は、如何なる病気の人口割合に殆ど衝撃を与えてなく、というのもミルクからの脂肪は食品供給の一部で、脂肪はよく摂取されますが色々な形態で取られているからです。乳製品からカルシウムの摂取を多くするという一般的な勧告は、冠状動脈性疾患を増大しやすくなり、というのも乳製品の生産と消費が増大しているからです。現在、賢明な戦略としては乳製品の取り方を多くても控えめにし、カルシウム摂取が必要なら、補助品を利用することでしよう。

5.アルコールは、一日女性で一杯、男性で二杯にとどめる。

この根拠は強力で、アルコール摂取が多いと多くの癌の危険性をまし、一杯といった少量の摂取でさえ乳癌の危険性を増大します。アルコール摂取についての一人ひとりの決定は複雑で、これらの飲む楽しみに加えて、冠状動脈性疾患にとっての有益性と事故と中毒の危険性を考慮にいれなければなりません。

エタノール12グラム/日(平均的な一杯)
種類 アルコール量
日本酒 29グラム/一合=180 ml
ビール 23グラム/中ビン=500 ml
焼酎25度 25グラム/100 ml
注:肝臓のための場合、60グラム/日

実行委員会要約専門家公開討論 食品・栄養とがん予防:世界的見地から

一杯とは、ビールで250 ml(小さなコップ一杯=小グラス)・ワインで100 ml(一杯=グラス)・ウイスキーで25 ml(一杯=メジャー)若くはそれに相当もの。 6.葉酸を含む多剤ビタミンの摂取を考えておく、特にアルコールを毎日飲む人は。  RDA基準の多剤ビタミンの形で葉酸(400ミクログラム/日)を取ることは、大腸癌と冠状動脈性疾患の危険性を減らすという、確かな根拠があります。アルコールは葉酸の生物的利用性に拮抗し、毎日アルコールを取る人に葉酸を補足することの利点が大きいという疫学的調査があります。原則的に、果物や野菜を相当多くすることは、葉酸の摂取をも増やすことになりますが、これら食品からの葉酸は、補助製品からのものより、生物的利用度が低いものです。また、果物や野菜の摂取を大幅に増やすことへの習慣的経済的な障害も、予測可能な将来全体として人々のこれら果物や野菜の大幅な増大を妨げます。今の所、癌予防のためのその他のビタミンやミネラルの使用を勧めるには、根拠が不十分です。 7.未精白の全粒の形状で、シーリアル製品を摂取する。  シーリアル繊維が大腸やその他の癌を減らすという根拠は非常に弱いものです。しかしこの勧告は、シーリアル摂取と冠状動脈性疾患と糖尿病の危険性に強力で一致度の高い反比例関係によって、正当化されています。


資料 1.Doll R, Peto R. Avoidable risks of cancer in the United States. J Natl Cancer Inst 1981;66:1196-1265. 2.Willett WC. Nutritional epidemiology. In: Rothman KJ, Greenland S, eds. Modern Epidemiology. Philadelphia, PA: Lippincott-Raven Publishers, 1998:623-642. 84.脂肪とコレステロール. In: World Cancer Research Fund, American Institute for Cancer Research, Food, Nutrition and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington, DC: American Institute for Cancer Research, 1997:389. [実行委員会要約へ] 146.Giovannucci E, Stampfer MJ, Colditz GA et al. Multivitamin use, folate, and colon cancer in women in the Nurses’ Health Study. Ann Intern Med 1998;129:517-524.[Medline] 151.Willett WC. Diet, nutrition, and avoidable cancer. Proceedings of the President’s Cancer Panel Meeting on Avoidable Causes of



1) アレルギーの原因 ( 自己免疫から )

アトピー性皮膚炎にはある程度,抗酸化剤が有効かも !

患者さんで アトピー性皮膚炎に悩まされていたこどもです.皮膚科や小児科で副腎皮質製剤を飲んでいましたが,見るに見かねて知り合いの皮膚科に紹介し,抗酸化剤と抗炎症剤に切り替えました.
1ヶ月後には皮膚炎はほとんど消失しましたが,血中の血清 IgA,IgG,IgEの低下は認められませんので,根本治療はなされていませんが,生活に及ぼす,かゆみ,湿疹などの影響は少なくなりました.

例えばアレルギー反応でお悩みの花粉症のメカニズムは,IgE抗体が T細胞とくっついて免疫抗体をつくるのですが,IgE抗体は花粉にもくっついてしまいます.Igは最初にIgM,つぎに IgA,IgGが上昇し,最後に IgEが上昇してきます.IgE はT細胞がヒスタミンなどのケミカルメディエーターを放出して,さらにIgE 抗体を呼び起こし,全身のあちらこちらで,そのような反応が起こりますから,くしゃみ,涙,かゆみや炎症などが起こります.痒くてたまらないのはそのためです.それを知らず知らず掻いてしまうので皮膚の炎症はさらにひどくなります.
しかし,血液の中の血球のひとつであるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は抗体がついたT細胞を破壊して症状を抑えることができます.そして,NK細胞を活性化するのが,樹状細胞であると報告されています.この NK細胞は癌細胞を攻撃することもわかってきました.ですので,自己NK細胞を培養増殖,さらに糖脂質でさらに樹状細胞は活性化しますので 樹状細胞を活性化してNK細胞をつくりだし,花粉症やアトピーなどの自己免疫疾患とされている症状をおさえるという考えがでてきています.

しかし,抗酸化剤によって IgE抗体を抑えたり,減少させることはありませんし,抗酸化剤が樹状細胞,NK細胞を活性化するという報告はされていませんので,抗酸化剤が免疫疾患に有効ということはいえません.

使用した抗酸化剤 ステロイドから抗酸化剤へ切り替えて,1ヶ月
低分子抗酸化剤 ( SOD様製剤)カロチン(リコピン),ビタミンB2,ビタミンE,ビタミンC,フラボノイド ( ポリフェノール, カテキン/タンニン, ハーブ )
アトピーは自己免疫異常と考えられています かゆみがとれて,アトピー性皮膚炎の湿疹が減少しました.しかし,血中のIgA,IgG,IgEの低下は認められませんが,生活に支障は極度に少なくなりました

このように,一部の疾患に抗酸化剤はアトピーを軽減させる場合もあります.しかし,そのメカニズムがはっきりしていないこと,Ig抗体が減少しないことからあくまでも対処療法のひとつであり,根本治療とはいえません.専門医と相談してください.

アレルギーと低分子抗酸化剤 !

気管支喘息(ぜんそく),過敏性疾患,アトピー性皮膚炎,スギ花粉症,じんましんなど,体内に入った異物を排除しようという働き(免疫)により,樹状細胞が変化してアレルギーが起こり,様々な症状がでます.その症状に関係しているのが活性酸素と考えられています.

少し古典的かもしれませんが,主にアレルギー1~4型に分類されます.

分類 機序 主な症状
1型 (アナフィラキシー型) 免疫グロブリンE(IgE)が関与する反応. 気管支喘息,一部の蕁麻疹,アレルギー性鼻炎,アナフィラキシーショック
2型 (細胞障害型) 細胞表面の抗原に対抗するように抗体(IgG, IgM)が結合し、さらに補体が関与して細胞破壊・溶解を起こす. 溶血性貧血、血小板減少症、血液型不適合による溶血.
3型 (免疫複合体型) 可溶性の抗原と抗体(IgG, IgM)が反応した結果、抗原抗体複合体が組織に沈着し、これに補体系が関与して炎症反応を起こす. 血清病、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチなど.
4型 (細胞性免疫型) 細胞性免疫に関与するTリンパ球が抗原と反応して、組織の障害を起こす. ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、臓器移植時の拒絶反応など.

2) アレルギーの原因 ( 活性酸素から)

口や鼻から入った食べ物,花粉,排気ガスなどが体内に異物が入ったとき,私たちの体には守る仕組みがあります.その異物を攻撃し,守る仕組みを免疫といいます.喉の奥にあるNALT / 鼻咽頭関連リンパ組織,小腸のパイエル板にあるGALT / 腸管関連リンパ組織が免疫系を司り,IgAとIgGを上昇させ,最終的にはIgEが上昇します.免疫の仕組みが働く時,白血球やT細胞はその細胞内に異物をとらへて活性酸素で異物を攻撃し,対処します.
血液の中の血球のひとつである樹状細胞が多く出現すると,抗体がくっついたT細胞を破壊して症状を抑えることができるNK細胞を増幅させて活性化し,花粉症やアトピーなどの自己免疫疾患とされている症状をおさえる報告がされています.しかし,自己免疫過剰な場合は,通常は抗アレルギー製剤,抗ヒスタミン製剤や自己免疫力を高めるステロイド系の薬剤で治します.もっとひどければ免疫抑制剤や抗癌剤の治療をおこないます.

ここでひとつの考え方として,活性酸素が原因であるとしたら,白血球やT細胞を動員させる司令塔であるB細胞がまちがった情報をだすと,活性酸素が余分にできてしまい,本来守るはずの細胞にゆがみが生じるというものです.細菌などを攻撃する白血球は細菌を補食し,白血球内の活性酸素で細菌を死滅させますが,約20分程で自分も崩壊してしまいます.この集合体が膿です.この際,余分に生成された白血球内の活性酸素がアレルギーを引き起こすと言う理論です・・・少し飛躍してた考えだと思いますが ?

よく,抗酸化食品のフレーズに「活性酸素は,いいかえると,自分の細胞を攻撃してくるのです.余分にできすぎた活性酸素を調整することで症状を緩和させますので,この活性酸素を調整するのが抗酸化食品です.この時にヒスタミンという物質が出ます.この物質がアレルギー症状を起こし,異物を分解するために,もっと胃酸を出すように信号を送ります.抗ヒスタミン剤を多く用いると,今度は胃液をはじめ体の組織がおかしくなるのです.
本来,人にはこのヒスタミンを調整する副腎皮質ホルモンがありますが,これができなかったり,でき過ぎたりして調整に失敗するとアレルギー症状が出ます.ですから,副腎皮質ホルモンを投与するとその時は良くなったと思ってもだんだんこの仕組みが狂ってきます.このように症状が出たらその症状を抑えるという対症療法だけを繰り返しても根本的な解決にはならないという発想で,活性酸素を除去することを重視しています.」とうたってありますが,あまり根拠がないことがほとんどで,このような説明はメカニズムではありません.
もう少し,活性酸素によるアレルギーの根拠とメカニズムの解明が欲しいところです.

アレルギー症状は食べ物を異物と認識したときに起こる

1) 乳幼児の食物アレルギーの場合

0歳~2歳ぐらいの時期が持つとも重要で,自己免疫は少なく,獲得免疫を働かせる必要があります.きれいな部屋で冷暖房完備した部屋で育てても,獲得免疫ができませんので,外でいろいろなものに触れさせる必要があります.小児アレルギーの原因は獲得免疫ができていないことがほとんどです.
例えば,食品では牛乳(粉ミルクの原料)以外にも鶏卵,卵白,アイスクリーム,大豆などが一番多いとされています.タンパク質が原因です.本来赤ちゃんは、お母さんの乳で育つようにできています.牛乳は「牛の赤ちゃん」用ですので,人間の赤ちゃんにはとっては異物です.しかし,獲得免疫ができると問題はありません.

2) 食品によるアレルギー

この食品でアレルギーを起こすからといってその食品を食べないようにしていれば,その人はアレルギーが治るかというと,今度は他の食品でアレルギーになり,極論すれば最後は食べるものがなくなります.問題の一つ目はタンパク質が低分子に分解されていないからであって,唾液とか胃液あるいは加工方法によって,低分子に分解されれば,アレルギーは起こらなくならないまでも,少なくはなります.
大豆アレルギーの人は味噌,醤油でアレルギーは起こしません.大豆のタンパク質は高分子なので起こしやすく,大豆も発酵によって低分子に分解されればスムーズに消化,吸収されます.焙煎・発酵によって低分子化し,消化吸収されやすい状態にすることも大事です.

3) アレルギーと共存する

アレルゲン(アレルギーの原因因子)が入って,免疫関係の細胞が活躍したとしても,その過程で起こる活性酸素の調整つまり過剰にできた活性酸素を除去できれば,ひどいアレルギーにならずに,うまくアレルギーと共存できるはずです.もっともこの活性酸素の調整をするのは低分子の抗酸化食品です.アレルギーとうまく共存させ,そのうち獲得免疫を作りださせます.
このように活性酸素を抑制し,アレルギー症状を緩和できれば深刻な結果にはなりませんので,日頃から活性酸素対策を続けることにより,知らず知らずのうちに体質が改善されるという結果も考えられます.

アレルゲン一覧表

アレルギーの原因因子が解らないまま重症化していくことが多いので,下記の一覧表から原因因子を探し出してください.気の遠くなるような作業ですが,ご自分将来にもつながりますので,ひとつひとつ消去していってください.原因がみつかれば治療法が探し出せます.

アレルゲン 種類 アレルゲンとなる主な因子
花粉症 花粉 スギ科: スギヒノキ科: ヒノキカバノキ科: ハンノキ,シラカバブナ科 : コラナ,クヌギ,シイ,クイイチョウ科: イチョウニレ科: ケヤキ

マツ科: アカマツ,クロマツ

イネ科: カモガヤ,オオアワガエリ,ハルガヤ,ホソムギ

キク科: ススメノカタピラ,スズメノテッポウ,イネ

クワ科: カナムグラ

その他(局地性): テンサイ,オオヤバシャブシ,ネズ,オリーブ,カラムシ,トキワギョリュウ その他(職業性): リンゴ,モモ,テウチグルミ

チリダニ コナヒョウヒダニ,ヤケヒョウヒダニ
カビ類 カビ アスペルギルス,ペニシリウム,アルテルナリア,クラドスポリウム
イースト 酵母 カンジダ
動物アレルゲン 動物 ダニ、蝶、蛾、また哺乳類の毛、毛垢、唾液などによるアレルギー性結膜炎、鼻アレルギー、喘息、そして鳥類の排泄物、羽毛などによる過敏性肺炎、喘息、さらに魚類や両生類などによる皮膚炎などがあげられる。ネコ,イヌ,モルモット,ハムスター,マウス,ラット,ウサギなど
植物アレルゲン 植物 食物アレルギーの原因としては鶏卵が最も多く、ついで牛乳があげられる。また穀物としては大豆、蕎麦(そば)、小麦、米など、魚類としてはサバやエビなどのアレルギーが報告されている。特に蕎麦は他のアレルゲンに比べ抗原性が極めて強く、注意が必要とされる
食物アレルゲン 動物性食物 鶏 卵 : 特に白味、卵を使った菓子、マヨネーズなど牛 乳 : 乳製品:バター・チーズ・牛乳を使った菓子など魚介類 : サバ、カツオ、ニシン、イカ、タコ、エビ、カキなど肉 類 : 牛・豚肉、ハム、ソーセージなど
植物性食物 野菜類 : たまねぎ、ほうれん草、セロリ、レタス、トマト、なす、竹の子、ごぼう、山いも、里いも、ふきなど果実類 : 柑橘類、イチゴ、リンゴ、メロン、バナナ、モモ、プラムなど豆 類 : 落花生、クルミ、ナッツ、大豆など穀 類 : 蕎麦、ライ麦、とうもろこし、小麦、米など香 料 : こしょう、からし、ハッカなど

結論

アレルギーは免疫異常であって,活性酸素が原因というのは解明されていません.ですので,皮膚科でなんかの健康飲料水や健康食品をわたすということもありません.活性酸素が原因という論文一人歩きの傾向が強く,科学的根拠とメカニズムが不明なことが多いということです.
しかし,そのような病気に罹った人はワラをもつかむ気持ちでしょうし,実際に私の試験でもアトピー性皮膚炎のかゆみは解消する人もいます.
多くの場合,このように経験談でしかないということです.経験談はいくら身近な人からでも聞いたことではなく,直接観たこと以外は信じないほうがいいでしょう.
アレルギー体質の人は,先ず,アレルゲンを自分で探すことが重要です.そこから治療が始まります.
冒頭に申し上げたように国はこれから健康食品について調査すると報告していますので,むやみに抗酸化剤を含めた健康食品を試すのではなく,専門医と充分に相談して抗酸化剤の正しい利用をすることをお薦めします.
どうしても抗酸化食品を試したい人は気休めとして考えていたほうがいいのではないでしょうか.

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